自發自奮 私の半成記
9784884718244
著者:加瀬 英明
定価:1,540円(税込)
46判 ソフトカバー 256ページ
自發自奮 私の半成記
外交評論家として活躍の加瀬英明先生の半成記。国に貢献してきた数々の実績、そして今後も日本のために戦い続ける思いが溢れている。
内容
私は生後6ヶ月で、父が日本大使館に転勤したのにともなってロンドンへ渡り、4歳になる前に帰国した。帰国児として育ったためか、いまでも当時の子供心を失っていない。
イギリスの記憶は断片的なものしかないが、近所の公園で砂場遊びに熱中したのが、心に焼きついている。帰国してから両親に連れられて湘南の海岸で遊んだが、砂の城づくりにはしゃいだのが思い出となっている。
そんなことから、人生を砂場として見るようになったのかもしれない。どこかでまわりに合わせるより、不遜なことだがまわりを自分に合わせたいと願って、綱渡りをしてきた。
私の半生を振り返ると、「自發自奮」という言葉が当て嵌(は)まろう。
この箴言(しんげん)(いましめとなる短句)は、福島の名門武家である白岩家の家訓であり、自分からあらゆることを発し、自ら奮闘しなければならないという教えである。白岩家の当主である建設業の白岩正通・白岩工業株式会社の会長から、この四文字の扁額を贈られて、私の事務所を飾っている。この額を見ると、血潮がたぎる。
と「あとがき」に著者は記している。
内容は、これほど内政、外交に活躍している人はいるのかと思うことばかりである。
お薦め
令和4(2022)年に84歳を迎える加瀬英明先生の半成記である。
「半成記」とタイトルを付けたことに大きな意味がある。
実は、本書は平成13年に黙出版から『これほど軍歌が歌われている国はない 私の半成記』として出版された本に、新しく2章(第十一章 日本は〝第二の幕末〟に直面している 第十二章 日本の時代が世界にやってくる)を書き加えた復刻版である。
半成記とあるのは、日本男子として愛する日本のために、まだまだやることがあるということであり、その思いが強く伝わってくる。
それは渡部昇一先生の言葉、「長い言論人としての生活において、加瀬さんが取り消さなければならない発言は、おそらく皆無であろう」と『起て! 日本』(1999年)で書いていることからもわかる。
混沌としている日本に対し、「今、日本は第二の幕末を迎えている。この危機を乗り越えれば、日本の時代が世界にやってくる」と檄を飛ばす。
目次
第一章 雑文を書いた六十余年
第二章 ジャーナリストは酒泉のまわりに集落をつくる
第三章 これほど軍歌が歌われている国はない
第四章 流行神(はやりがみ)と日本の新聞
第五章 流行は流感のようなものだ
第六章 『ウイニー・ザ・プー』から学ぼう
第七章 プレインズからワシントンまで
第八章 日本は国家としての逞(たくま)しさを失っている
第九章 アフリカが危ない
第十章 希少金属とのロマンス
第十一章 日本は〝第二の幕末〟に直面している
第十二章 日本の時代が世界にやってくる
あとがき
著者
1936年東京生まれ。外交評論家。慶應義塾大学、エール大学、コロンビア大学に学ぶ。『ブリタニカ国際大百科事典』初代編集長。1977年より福田・中曽根内閣で首相特別顧問を務めたほか、日本ペンクラブ理事、松下政経塾相談役など歴任。公益社団法人隊友会理事、東京国際大学特命教授。
著書に『昭和天皇の苦悩 終戦の決断』『昭和天皇の苦闘 巡幸と新憲法』(勉誠出版)、『イギリス衰亡しない伝統国家』(講談社)、『徳の国富論』(自由社)など。『加瀬英明著作選集』(勉誠出版)を刊行中。