青森県板柳町の軌跡 日本一のりんごの里づくり
ISBN978-4-88471-452-9
著者:舘岡一郎
定価:2,037円(税込)
ハードカバー B5判 224ページ
まえがき
人生は山あり谷ありである
思えば、私は、昭和37年、役場に奉職して以来、職員時代37年と町長4期16年、合わせて53年間、日本経済の高度成長期からバブルの崩壊を経て、低迷期に至るまで全力で駆け抜けて来たのだった。
特に、町長在職中は、町政発展のカギはリーダーの全人格にあると自らに言い聞かせ、板柳町のこと、そして町民の幸せのために、まさに年中無休のフル稼働の日々であったが、この53年間、楽しいことあり、苦しいこともあって、実に多彩で、充実したものだった。
町の仕事は、首長一人ではできるはずもない。一つの仕事を成し遂げるには、綿密な計画と入念な準備が必要である。加えて首長のビジョンを地道に具現化する職員を必要とする。さらに町議会の協力、町民および関係する方々の理解と支援を欠くことはできない。
私が町づくりの目標に「日本一のりんごの里づくり」を掲げ、取り組んできた数々の事業は、そのようなよき理解者があったればこそ推し進めることができたのであって、感謝の念でいっぱいである。
公職から身を退き、部屋に山積みの資料等の整理に取り掛かってみると、それらはわが町が歩んだ足跡に思えてきたので、町政の舵取り役でもあった者の務めとして、「町の軌跡」の名にしてまとめることを思い立った。
早速、筆を執ったが、ずっと私の脳裏に去来したのは、りんごの町板柳の行く末である。ここ数年、リンゴの高値基調が続いていることから、農家の経営は安定傾向にあるものの、多くのリンゴ農家は、深刻な問題を抱えている。それは、後継者難、高齢化、労働力不足などであり、放任園や伐採園の増加がその現実を示している。町が置かれたこの状況に手を拱いていては、わが町のリンゴ産業の衰退、ひいては、町の活力が失われるのは必至である。
板柳町の歴史は、先人たちが血のにじむ努力で紡いできたものであり、今を生きる私たちは、りんごの町を自負してきた。板柳町を未来に繋いでいく上で、本書が少しでも役立てば望外の喜びである。
目 次
グラビア
まえがき
第1章 キャリアの形成
第2章 ふるさとセンターの建設
第3章 町政の混乱 ― 議会紛糾 ―
第4章 町長選挙に挑戦
第5章 国際交流
第6章 町民海外派遣研修
第7章 「アップルモール」の整備
第8章 りんごの里アンバサダー
第9章 無登録農薬問題
第10章 「りんごまるかじり条例」制定
第11章 市町村合併問題
第12章 「読書のまち」宣言
第13章 最後の議会
付録 関連年表「町の歩み」
著者
昭和18年3月4日、青森県板柳町生まれ。昭和37年4月から平成11年3月までの37年間、板柳町役場に勤務。この間、ふるさとセンター所長、総務課長などを歴任。平成11年4月の板柳町長選挙から4期連続当選。16年間板柳町長。この間、平成25年青森県町村会長に就任。平成27年4月29日任期満了で板柳町長退任後、農地所有適格法人設立に向けて活動平成29年4月、株式会社 晨(TOKI)代表取締役社長に就任。ふるさとセンター取引交渉、友好都市交流、町村会視察などで数多くの海外渡航歴あり。平成28年3月 板柳町褒賞受賞。平成28年4月 旭日双光章受章。
出版社よりお薦め
カバーを開くと、板柳町のりんごの風景、著者の足跡がカラー写真で紹介されています。組織はリーダーしだいと言われますが、まさに舘岡一郎氏はリーダーシップを発揮し、板柳町の町づくりに取り組んできました。
行政に留まらず、トップの姿勢は組織全体に大きく影響します。舘岡氏は町長として自ら先頭に立ち、海外までりんごのPRに努め、経済の面でも町に大きく貢献しています。将来を担う子供達の育成にも取り組んできました。地方再生・地方創成は現代の日本が抱える大きな悩みであり問題です。本書はその生きた参考書として役立ちます。また個人としての生き方でもおおいに参考になる1冊です。