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尊皇の系譜 書による心の世界

尊皇の系譜 書による心の世界

ISBN978-4-88471-438-3
著者 白石念舟
定価 3,240円(本体3,000 円+税)
A4判 ソフトカバー 246ページ+カラーページ16

集録してある書

水戸光圀、欧陽可亮、佐々宗淳、楠木正成、楠木成行、坂本龍馬、会澤正志斎、林 子平、 高山彦九郎、真木和泉守、吉田松陰、久坂玄瑞、宮坂彦助、高杉晋作、野村望東、平野國臣、月照上人、井伊直弼、西郷隆盛、山岡鉄舟、勝 海舟、佐藤一斎、西郷隆盛、大久保利通、篠原国幹、桐野利秋、島津久光、大原重徳、横井小楠、山縣有朋、頼 山陽、橋本佐内、水戸斉昭、藤田東湖、武田耕雲斎、武市瑞山、中岡慎太郎、河田小龍、田中光顕、土方久元、三条実美、岩倉具視、熾仁親王、木戸孝允、後藤象二郎、板垣退助、伊藤博文、  井上 馨、西園寺公望書、品川弥二郎、頭山 満、谷 干城、乃木稀典、 児玉源太郎、徳富蘇峰、伊藤祐享、東郷平八郎、大山 巌、上村彦之丞、 佐野常民、大木喬任、桂 太郎、金子堅太郎、内田良平、福島安正、榎本武揚、

「はしがき」より

二十二歳のとき、茶の湯の稽古を始めて師と仰ぐ人物に出会った。文部省の国宝鑑査官であり、文化庁主任文化財調査官であった田山方南先生(墨跡の研究で知られる)である。日本文化を身に纏った、最後の文人墨客といえる先生であった。

自分が書に関心を示したのは成り行きとして当然であった。それとなく心の赴くところは茶の湯の道具類であり、自然と売買に手を染めるようになり、現在もその世界に身を置き半世紀に近くなった。江戸時代始めに数々の古筆手鑑が作られており、それらを見ると、書に対する日本人の趣向性が分り、文化が理解できる。徳川幕府は林家に儒学を普及させた。各藩は藩校を開設し藩士の教育を行う。学問を身に纏った人物は私塾を開き、農工商に従事する人等も学びを始めた。人々は漢文字を使い、また、草仮名を使い、自分の心を表現するようになった。江戸時代・文化文政期、学問の花が咲いたのである。

近世・勤皇の心を表わした人物を総覧すると、水戸光圀に行き着くと思う。光圀は家康の孫である。家康は元和偃武以降「禁中並公家諸法度」を制定し、天皇の権能を厳しく制限するようになった。勅使の日光参向は東照社落成のときに端を発する。宮号が宣下されると、奉幣師の派遣が毎年行なわれるようになり、光圀はその接遇に心砕き、手厚くもてなしたと言う。

幕末に至り尊皇攘夷が叫ばれた。攘夷運動あればこそ維新につながり、世界に評価される明治国家が出来た。尊皇の心は日本人であれば誰でも持っている。では、勤皇は尊皇と何処に違いがあるのであろうか。

上州の人・高山彦九郎は勤皇の心を表わして、全国を回った。京都三条橋のところに、御所遥拝の銅像がある。彦九郎の思いは実現できず幕府に追われて、久留米で割腹し生を終えた。後期水戸学を成した人たち、会沢正史志斎や藤田東湖等に高く評価されている。勤皇家・吉田松陰は水戸を訪ね彦九郎のことを教えられ、その諡(おくりな)「松蔭以白居士」に因み、松蔭と名乗ったのでないかと言われている。

維新に向けて行動した人たちを勤皇家と呼ぶことにし、その心を訪ねてみたいと思う。幸い手元に幕末、維新前後に活躍した人たちの一次資料である書幅が二百幅ほどある。収集を始めたのは二十五歳ぐらいからである。よく人間力をつけよと言われる。人間力などは文化力があってはじめて身につくものだ。己の文化を忘れた民族は滅びるしかない。敗戦の結果、それが著しく低下した現実を嘆いてはいられない。余韻はまだ残っており復活の余地は残っている。教育などは将に文化的伝統の上に為されるべきものと考える。
本書では蒐集した書を約90点掲載。
東洋の一隅を占める日本には、世界の人智が習合している。大和民族は良知の実践を持って世界の人々に貢献できる。それは、夢と希望を大きく掲げることだ。政治家は目標を示し、天上に大きく描かなければいけない。力のある国民は、それをあっという間に実現するであろう。明治維新後、三十年にして世界の人たちを驚かした事実を思い起こせば可能である。

  平成二十六神無月

白石念舟

白石念舟(しらいし ねんしゅう)

昭和17年1月15日生まれ。
田山方南(文部省国史編修官兼国宝鑑査官・文化財専門審議会委員)氏に師事、墨跡、古筆を学ぶ。
茶の湯コンサルタント(茶会の指導)、茶の湯美術商50年。
ボランティア活動として、日本シルクロード倶楽部専務理事を16年間専任(平成19年5月まで。昭和60(1985)年より「茶籠の会」主宰。「敬仁愛人フォーラム21」の講師を5年間務める(平成19年12月まで)。「史談茶会」(平成15年から共催)。平成24年1月より「りんご塾」主宰。
現在、日本シルクロード科学倶楽部顧問。
著書『乾山翁佐野庄入り、時期の検証』『西郷南洲翁手抄言志録(佐藤一斎・言志四録より百一ヶ条)』

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