佐々木大八伝 魁(さきがけ)
978-4-88471-835-0
著者:染谷和巳
定価:2,000円(税込)
A5判 ハードカバー 216頁
経営者が成長する2つの節目
経営者には成長の節目が二つある。
事業欲が強い人のうち、よく働く人、商売上手な人、運がいい人が会社を大きくする。
頭上に固い節が見える。
一握りの人が深く学んで、大局観と先見性を身につけ、第一の節目をこえる。
第二の節目は人財を育て、分身を作り、権限を委譲して、会社を後継者に託す責任を果たした時にこえられる。
二つの節目をこえた一人の経営者の六十年間の軌跡をたどった。
何のために社員を教育するか
本書は、一般的な自伝ではなく評伝になっている。読んでいるとその時々の情景が思い浮かんでくる。同時に、言葉の奥にある願いや熱も感じる。1人の経営者人生としても面白いし、生き方や経営についても参考になる。
主人公は昭和17年の早生まれ、著者は昭和16年生まれの同学年。共に中小企業の創業者である。著者は人材教育の研修を主催しており、主人公の社員が受講している。そんな関係もあって、お互いは知己であり、だからこそ描けた評伝である。
主人公は「行くてを阻む厚い壁で夜も眠れない日々を過ごすうちに、必ず救いの手が差し伸べられた」「私はついている。運のいい男である」と述べている。よく読んでみると、つきも運も人のご縁も、自らの努力で引き寄せていると感じる。
若い頃の働き方は、人に頼ることを恥じた。何事も自力で行う。一心不乱、よく働いた。会社の業績は上がったが、頂点に達した時に労働争議がおきた。この人生最大のピンチも、必然としか言いようのない出会いで救われた。
この時から主人公は〝何でも自力で〟をやめて〝人の力を借りる〟に方向転換。謙虚に人に教えを乞う道を歩き始めた。社員が増え、業績が向上した。拠点の数が増え、新分野の事業も好調に推移した。
今から二十五年前、主人公は再び経営者として大きい意識変革の出来事があった。長男に子ができたのである。孫ができて主人公は変わった。
創業した会社が世の中に認められ支持されるものとすれば、会社は価値ある存在である。会社はなぜ社員を教育するのか。仕事の成果を上げて業績向上に寄与してもらうため――違う。会社を次の代に引き継いでいくために教育するのである。子々孫々会社が百年二百年と生き続けること。そのために社員一人ひとりを立派な人間に育てなければならない。
目次
まえがき 魁としての奮闘の記録
一 章 名刀兼定のおかげで〝節目〟を越えられた
二 章 少年期
三 章 人に認められる喜びを知った
四 章 野心
五 章 運がいい男
六 章 細かくうるさくしつこく
七 章 家族主義
八 章 自己研鑽の成果
九 章 立派な日本人を作る
十 章 よく遊びよく学ぶ三友マン
十一章 第二の柱、第三の柱
十二章 健全な体・健全な心
十三章 情報戦
十四章 東日本大震災の後
十五章 究極の権限移譲法
十六章 闘争心競争心
十七章 会社を支える四人の社長
十八章 月が見ている
あとがき 孫が私を変えた
略歴(佐々木大八)
著者
染谷和巳(そめや かずみ)
昭和16年(1941)東京生まれ。
旧東京教育大学卒。
昭和63年 株式会社アイウイル設立。
現在 アイウイル主宰。
著書
『上司が鬼とならねば部下は動かず』(プレジデント社)、
『指導者として成功するための十三の条件』(高木書房)他。