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幻の祖国に旅立った人々 北朝鮮帰国事業の記録

幻の祖国に旅立った人々 北朝鮮帰国事業の記録

ISBN978-4-88471-433-8

著者:小島 晴則

定価:2,200円(税込)

B5判 ソフトカバー

『新潟協力会ニュウス』合本復刻版。
平成26年は北朝鮮帰国事業が開始されてから55周年にあたる。その全盛だった。
時代を刻銘に記録した昭和35年~39年発行の『新潟協力会ニュウス』を収録。

歴史の証言
新潟協力会ニュウス合本復刻にあたって

 帰国事業は昭和34(1959)年12月14日に新潟より第一船が出ましたが、私が帰国事業を支援する帰国協力会の事務局で仕事を始めたのはその年の八月からでした。ちょうど8月13日、日本と北朝鮮の赤十字社の間に、カルカッタで帰国協定が締結され、祝賀会が新潟の小林百貨店で催されたんです。
確か15日だったと思いますが、日朝協会、朝鮮総連、そして帰国協力会の三者でお祝いをやって、それから私も本格的に帰国事業にかかわって行きました。
第一船が来るまでは、とにかく目が回るほど忙しかった。しかし在日朝鮮人の皆さんが、社会主義の祖国に帰ることになったという嬉しさと感激、その一方で反対勢力ももちろんいるわけですから、何が起きるのかわからない、これは相当覚悟を決めてやらなくちゃいけないという緊張感もありました。そして何よりも、この歴史的な大事業に参加しているんだという喜びが大きかった。
当時総連の人の話では、「在日朝鮮人60万人のうち、約10万人は韓国民団の傘下だから残るでしょうが、50万人は北朝鮮に帰りますよ」と言っていました。それくらいの意気込みだったんです。まさに民族の大移動が起きると考えていました。
……
歴史は直線のようにまっすぐには進まない。残念なことですけれど、時には間違いや悲劇を繰り返しながら真実が明らかになることもあるように私は考えるようになりました。時代を経て、50年、100年たってやっとわかることがある。人間はその時その時、自分の信じた道、選んだ道を進んでいくしかないのでしょう。
確かに、今から見れば帰国事業とは何だったのかと思い、私は悩み、懺悔の気持ちを抱きますが……でも、当時はそういう時代の空気が確かにあったのです。そして私は、イデオロギーの宣伝をしようと思ってこのニュウスを作っていたのではなかった。
とにかく、出港地新潟での風景ですね。帰国事業の動きを正確に記録してお伝えしたい、時代の記録を残しておきたい、ただそれだけの思いでした。
この合本が、おそらく二度とこの日本で起きることはない、帰国事業という大きな歴史的事件の記録資料として、研究者やあの時代を知らない人々に何かを伝えていくことができれば、編集者としてこれほどうれしいことはありません。

小島晴則(当時 新潟協力会ニュウス編集責任者)
(平成25年12月8日 新潟にて)

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