三代目社長の挑戦 「してさしあげる幸せ」の実践
ISBN978-4-88471-805-3 C0034
著者:後藤敬一
定価:1,650円(税込)
46判 ソフトカバー
出版社からのお薦め
2013年度に日本経営品質賞を受賞した滋賀ダイハツ。大きな赤字を抱えていた滋賀ダイハツを戦略(会計)経営、分社経営、全社員経営で立て直し、さらに兵庫ダイハツを黒字化した伝説の経営者、後藤昌幸氏を父に持つ。36歳で社長に就任し「五幸の基本方針」を掲げる。その道を探る中で鍵山秀三郎先生氏と出会い「誰にでもできる簡単なことを、誰もできないくらいにやり続ける」を学び実践。そして経営品質賞と出合い、全社で取り組むことを決定。当時はCSがワースト5だった。その滋賀ダイハツが、なぜ人を喜ばせることを生き甲斐とする社員が育ち、同じ価値観で自ら考え行動する組織になったのか。なぜ部分最適になりがちな分社制を継続しながら全体最適の企業になったのか。それは「良い会社にしたい」という社長の決意から始まっている。そして後藤社長は言う「わが社の自慢は社員です」と。本書で、生きた経営を学べます。
他社を真似る(ベンチマーク)
・やれることを一つでいいから「やる」と決める
・高いレベルのものでなく、一番やさしくできることをやる
・それを、やっているかチェックする
真似は私達を向上させてくれる素晴らしい方法です。社員には「真似は恥ずかしいことではない。真似はどんどんやりましょう」と奨励しています。
最初は、真似することに抵抗感があった社員も、今では真似をすることがうまくなってきました。真似というのは、実行してこそ本物になるのです。
(本文より)
内容紹介
経営品質の目的は、「良い会社」をつくることです。滋賀ダイハツの場合は、大きく二つ挙げられます。①社会や地域の人々からなくてはならない会社にする。②社員が滋賀ダイハツで仕事をして誇りに思える会社にする、です。そのために必要なのが、会社の理念です。ここで重要なのは、理念を掲げるだけでは何の意味もありません。会社の役員はじめ全社員が理念を共有し、理念を実現すべく行動しているということです。行動が伴ってこそ、数多く存在するライバル企業をベンチマークすることもでき、他社が真似のできない、独自のノウハウ・商品を次々と開発することができます。そして、なにより、それを実現する社員が育っていきます。会社の理念をいかに社員に伝え、実行面まで落とし込むか。それが「良い会社」を実現させるための大きなポイントです。滋賀ダイハツでそれをどう取り組んできたのか。その成果を含めて本書で詳しく述べています。
後藤 敬一(ごとう けいいち)
昭和33年1月3日大阪府大阪市に生まれる。同51年3月滋賀県立膳所高等学校卒業。同55年3月静岡大学卒業。昭和55年4月株式会社ローランド入社。同59年3月株式会社ローランド退社。同59年3月滋賀ダイハツ販売株式会社入社。同63年5月取締役に就任。平成2年1月常務取締役に就任。同5年4月長浜ダイハツ社長に就任。平成6年10月、36歳で滋賀ダイハツ販売(株)6代目代表取締役社長に就任、若さと情熱で次々と改革を推し進める。 又、イエローハットの創業者である鍵山氏に師事し、トイレ掃除の奥義を学び、社員にもその心を伝え、現在は、「日本を美しくする会 滋賀掃除に学ぶ会」代表としても活躍している。
目 次
はじめに
第一章 悪戦苦闘した経営品質への取り組み
「社長、おめでとうございます」
CSは全ての方針に網掛け状にかかるもの
CS(顧客満足度)下位の現実
経営品質は私たちが目指す姿を示している気がした
「いや、すみません。できていません」
関西経営品質賞に応募することを決めた
合議制の根底にあるもの
早朝勉強会を活用し会社の理念を浸透させた
挑戦したからこそ得た審査結果レポート
車がいいから売れているのでは?
日本経営品質賞に挑戦 本賞を受賞
お客様の不便はお客様目線で社員自身が改善する
第二章 後継者としての挑戦
「おじいさんが作った会社ですよ」
経営者・父「後藤昌幸」
初めての営業、不安の中で第一号の契約を頂く
赤字会社再建のチャンスが与えられた
社長就任と同時に味わった経営危機
イエローハット創業者、鍵山秀三郎先生との出会い
滋賀ダイハツさんは野武士のようですね
記念すべき第一回「滋賀掃除に学ぶ会」は藤樹神社
五枚のハガキに込められた思い
学校支援メニューに登録
「お客様の幸せ」を一番に掲げた最初の「五幸」
「五幸の基本方針」はすべて「社員の幸せ」に結びつく
第三章 経営品質に取り組んで変わった七つのこと
一、経営理念・社是を共有し実行 ― 行動レベルが向上
滋賀ダイハツの経営方針
1、お客様本位
2、独自能力
3、社員重視
4、社会との調和
二、他社を真似る ― いとわず実践できる
来店型営業 ― ショールームのカフェ化
改善を加えていくとオリジネルのように見える
三、社会貢献活動 ― 行動することでその意義を実感
組織プロフィール・カテゴリー
滋賀掃除に学ぶ会
CSR委員会
福祉車両専門店「フレンドシップ大津店」
四、社員が同じ価値観で自ら考え行動する組織になる
店長専任制
「規則基準」と「原則基準」
五、マイナス情報まで社長に即届き即対策がとれる
お客様の真実の声を聞く ― 改善点が見つかる
「プラス事項」と「マイナス事項」
ライバル情報 ― 例えば車検
お客様インサイトで生まれた〝カフェde車検〟
六、PDCAが正しく回る組織になる
経営方針を一年間のスケジュールに落とし込む
全社員が一堂に集まり実行計画を策定
チェックする仕組み
七、人を喜ばせることを生き甲斐とする社員が育つ
お客様は喜んでくれているだろうかを常に考える
「あんたは親孝行を売っている」
第四章 部分最適から全体最適へ
滋賀ダイハツの概要
車を買ってくれた後もお客様になって頂く
お客様満足(CS)と社員満足(ES)が一緒に上がる
戦略の展開・環境整備点検で店舗全体の様子を知る
情報環境整備なくして経営品質は語れない
名物・経営方針勉強会後の居酒屋回り
下期政策勉強会で全社員の質問に答える
全員参加が基本の社員旅行
ベンチマークは確認の「はい」から実践の「はい」へ
社長のスケジュールは全部オープン
ボイスメールの活用 情報の開示
それでも組織は部分最適におちいる
第五章 新たな五年後を目指して
少子高齢化の中で考える滋賀ダイハツの使命
お客様インサイトの挑戦
仕事と作業は違う 期待以上の仕事をする
鉄砲は売らない弾を売る―保有ビジネス
お客様のライフスタイルの変化を捉え価値を提供する
利益は何のために出すか そして何に使うか
社員教育に使う
インフラ投資に使う
滋賀ダイハツブランドアップに使う
新規事業構築のために使う
お客様に価値を提供することが私たちの事業
滋賀ダイハツのブランドを作る
プロバスケットチーム「滋賀レイクスターズ」
クラブ活動から生まれた「フライングスニーカー」
経営品質の考え方、ノウハウを全国に拡げる
後継者実践塾の開校
海外に我々のノウハウを提供していく 隠れたチャンピオン企業
TMAP
五年で倍増、第六十二期 五ヵ年計画
第六章 わが社の自慢は社員
社員は自社で幸せになってもらうのが大原則
驚くほどに自主的に一生懸命にやる社員
スタッフが網掛け状に動いていく
カフェプロジェクト
机をロの字から丸テーブルに
一声かけることで思いを受け止めてもらえる
情報誌『carfe』(カルフェ)を製作
大人気ファミリー向けのイベント
隣の部署を手伝う
下期政策勉強会で社員からのサプライズ
社長就任二十周年記念サプライズ映像 おわりに